本作に登場する部隊や兵器は、実際の歴史的背景に極めて忠実に基づいています。桜花を運用した実在の部隊は、海軍の第721海軍航空隊、通称「神雷部隊」です。1945年3月の九州沖航空戦を皮切りに沖縄戦などで実戦投入されました。
史実における桜花作戦は、作品以上に苛烈を極めるものでした。桜花(重量約2.2トン)を吊り下げた一式陸攻は極めて鈍重となり、最高速度は激減。米軍は桜花を搭載した一式陸攻を「ベティ(Betty)」と呼び、桜花発射前の母機を狙い撃ちにする徹底した迎撃体制を敷きました。その結果、多くの部隊が桜花を切り離すことすらできずに撃墜され、米軍からは「Baka Bomb(バカ爆弾)」という侮蔑的なコードネームで呼ばれることとなります。
『音速雷撃隊』はこうした過酷な史実を綿密に踏まえた上で、フィクションとしての劇的な突入劇を描きながらも、当時の若者たちが直面した逃れられない死の現実を正確に伝えているのです。