事案の原点は2015年4月に遡ります。当時、ジャーナリスト志望だった伊藤詩織氏は、TBSワシントン支局長(当時)だった山口敬之氏と都内の飲食店で会食後、意識が混濁した状態でホテルに連れて行かれ、同意のない性行為を強要されたとして警視庁に被害届を提出しました。
捜査段階では準強姦罪(当時)容疑で逮捕状が請求・発付されたものの、直前で執行が停止されるという異例の経緯をたどります。その後、東京地検は嫌疑不十分で不起訴処分とし、検察審査会も「不起訴相当」と議決しました。
刑事裁判への道が閉ざされた伊藤氏は2017年5月、実名と顔を公表して司法記者クラブで記者会見を開き、性被害の告発に踏み切りました。同年秋には詳細な記録を綴った手記『Black Box』を出版。密室で行われた行為の立証の壁、警察や司法手続きの不透明さを鋭く告発し、国内外に大きな衝撃を与えました。