伊勢ヶ濱親方の指導力が高く評価される根底には、現役時代の輝かしい実績と、指導者としての類まれな慧眼があります。青森県出身の元横綱・旭富士は、スマートな体躯から繰り出す鋭い立ち合いと緻密な技術で「津軽富士」と称され、千代の富士時代から平成初期にかけて土俵を沸かせました。
引退後に安治川部屋を創設し、2007年に名門・伊勢ヶ濱を継承して以降の指導実績は群を抜いています。
- 日馬富士の横綱昇進:軽量の体格を徹底的なスピードと鋭い立ち合いで補う相撲道を確立。
- 照ノ富士の奇跡の復活劇:大関から両膝の負傷と内科疾患で序二段まで陥落した照ノ富士に対し、精神的・医学的サポートと徹底した基礎運動を課し、大相撲史上初となる「序二段からの大関復帰・横綱昇進」を完遂。
- 尊富士の110年ぶり新入幕優勝:2026年春場所、新入幕での歴史的快挙を達成させ、育成能力の絶対的な高さを証明。
こうした偉業の陰には、妻(おかみさん・淳子夫人)を中心とした家族の献身的な支えも見逃せません。大所帯となった稽古場の食事管理、若手力士たちのメンタルケア、冠婚葬祭の手配に至るまで、おかみさんの細やかな目配りが、厳しい指導と温かい家庭的環境の絶妙なバランスを保つ防波堤となっています。