税務相談窓口やオンラインコミュニティで毎年散見されるトラブルを分析すると、制度の仕組みを誤認したことによる「控除の二重取り失敗」や「証明書類の欠落」が目立ちます。
事例1:セルフメディケーション税制との「併用」を試みて差し戻し
「ドラッグストアで対象の市販薬を15,000円分買い、病院でも8万円支払ったので両方申告したい」という相談が後を絶ちません。しかし、通常の医療費控除とセルフメディケーション税制(特定一般用医薬品等購入費を対象とした控除)は完全な選択制であり、併用は法律で一切禁止されています。国税庁の「令和8年度(令和7年分)医療費控除の明細書」にも明記されている通り、どちらか一方しか適用を受けられません。
事例2:保険金補填額を差し引かずに申告し、修正申告に発展
入院手術で総額40万円を支払ったものの、加入していた民間の医療保険から給付金が25万円支払われていたケースです。この場合、自己負担の実質額は15万円(40万円−25万円)となり、医療費控除の対象額もその実質額をベースに計算します。補填金を引かずに総額40万円で申告書を提出していたところ、後日税務署からの照会によって過大申告が発覚し、追徴課税を受ける事態となった実例が存在します。