野島埼灯台の最大の醍醐味は、灯台の内部に入って最上部の展望デッキまで自分の足で登れる点にあります。日本航路標識協会などが管理する全国の灯台のなかでも、参観灯台として一般開放されているのは16基のみ。関東地方では野島埼灯台のほか、同じ千葉県の犬吠埼灯台、神奈川県の観音埼灯台など限られた場所でしか体験できません。
灯台の入口をくぐると、中央にそびえるのは77段の白い螺旋階段です。ひんやりとした石造りの空間を一段ずつ登り、終盤の急勾配なハシゴ階段を上がって扉の外へ出ると、視界一面に濃紺の海が広がる大パノラマが待っています。海抜およそ30メートルの高さから見下ろす太平洋のうねりと、地球の丸みを実感できる広大な水平線は、登った人だけが味わえる特別なご褒美です。
敷地内には資料展示館「きらりん館」が併設されており、灯台で使われていた巨大なフレネルレンズや貴重な歴史資料が展示されています。野島埼灯台は、幕末の1866年に結ばれた江戸条約によって建設が定められた「条約灯台8基」の一つ。フランス人技師レオンス・ヴェルニーの設計によって明治2年(1869年)に初点灯した、日本最古級の洋式灯台としての重厚な歴史にも触れることができます。