いくら高性能なレンズを選んでも、フレームの掛け心地や位置がズレていては宝の持ち腐れになる。ここで真価を発揮するのが、経験豊富な眼鏡技術者の手技だ。度数差のあるメガネは、レンズの重みで片側だけが下がりやすく、黒目の中心とレンズの光学中心がズレてしまいやすい。
プロの技術者は、鼻パッドの高さ、テンプルの抱え込み感、前傾角(フレームの傾き)をミリ単位で調整していく。特に左右差があるメガネでは、度数が強い側のレンズを目にわずかに近づけるフィッティングを行うことで、像の倍率差を物理的に緩和させるアプローチが取られる。道具としてのメガネを身体の一部へと馴染ませるこの技術こそ、違和感解消の隠れた要なのだ。