大会閉幕後、最も世間を騒がせたのが「毎年発生する巨額の赤字を誰が埋めるのか」という維持費問題でした。独立行政法人日本スポーツ振興センター(JSC)が公表していた試算では、スタジアムの維持管理費は年間で約24億円。イベント収益を差し引いても、毎年十数億円規模の公金が垂れ流しになるのではないかと猛烈な批判を浴びました。
この危機的状況を打開するために導入されたのが、公共施設の運営権を民間事業者に売却する「コンセッション方式」による民営化です。入札の結果、NTTドコモ、前田建設工業、SMBC日興証券、東京ドームなどで構成される企業グループが運営事業者に選定されました。民間事業者が支払う運営権対価は約528億円(30年間分)に達し、これによって行政側の持ち出しリスクは大幅に軽減されるスキームが整いました。
現在の新国立競技場は、単なる公営競技場から「稼ぐ民間エンタメ施設」へと脱皮を図っている真っ最中です。Jリーグの公式戦やサッカー日本代表戦はもちろん、年間数組に限定されていた音楽コンサートの受入基準が見直され、ドーム球場や他の大型アリーナと競合する一大イベント集客拠点として稼働率を高めています。