「本が出れば定価の10%が懐に入る」——これは長らく文芸界の標準とされてきた通説だ。しかし、2026年現在の出版業界データを紐解くと、この「10%神話」はすでに崩壊しかけていることがわかる。
実績のない新人作家や初版部数が絞られる単行本の場合、初期印税率は7%〜8%程度に設定されるケースが珍しくなくなった。文庫化の際にも8%前後で提示されることが増えており、かつての一律10%という数字は、一定の部数を見込める中堅以上の著者に与えられる特権に近い扱いとなりつつある。
対照的に、東野圭吾や村上春樹といったミリオンセラーを数多く生み出すトップクラスの作家となれば話は別だ。彼らの場合、基本印税率が10%以上に設定されるだけでなく、初版刷り部数自体が数十万部単位となるため、発売した瞬間に数千万円規模の印税確定が約束される。文芸出版の世界における収入格差は、発行部数の極端な二極化に連動して年々広がっているのが実情だ。