ファンの間で常に熱い議論が交わされるのが、多軌透と夏目貴志の間に恋愛感情(恋心)が存在するのかという点です。
作中における多軌の夏目に対する態度は、極めて献身的かつ純粋です。夏目が妖絡みのトラブルで傷つくことを誰よりも心配し、自分にできる限りの手助けをしようと奔走します。しかし、これを単なる「異性への恋愛感情」と断定するのは早計です。公式設定資料や原作のエピソードを丹念に追うと、二人の関係は「同じ痛みを分かち合える者同士の魂の共鳴」として描かれていることが分かります。
ここで極めて重要なのが、同級生である田沼要を含めた「三人組」の絶妙なバランスです。
- 夏目貴志:妖が完全に「見える」存在。幼少期からのトラウマと孤独を抱える。
- 田沼要:妖の気配や影が「少しだけ感じられる」存在。夏目の負担を分かち合いたいと願う。
- 多軌透:普段は妖が「見えない」が、道具(陣)を使って「見ようとする」存在。
心理学における「バウンダリー(心理的境界線)」の観点から見ると、この三人は互いのプライベートや能力の差を尊重しつつ、踏み込みすぎない節度を保っています。多軌の夏目への想いは、独占欲を伴う恋愛感情というよりも、「大切な日常と秘密を守り合いたい」という尊い連帯感に根ざしていると評価できます。