ネット検索で「喜久屋書店」と入力すると、サジェストに「閉店 理由」といった不穏なキーワードが並ぶことがあります。お気に入りの店舗が突然なくなるのではないかと不安を抱く読者も少なくありませんが、この背景には出版・小売業界全体の構造変化と、喜久屋書店が進める事業戦略の転換があります。
出版不況や電子書籍の普及に伴い、紙の書籍を扱う実店舗は全国的に厳しい環境に置かれています。喜久屋書店においても、郊外型の小型店舗や契約期間を満了したテナントの撤退が実施されたことで、「閉店ラッシュ」という印象がネット上で拡散されました。
しかし、実際の店舗一覧と出退店動向を分析すると、実態は「全社的な衰退」ではなく「不採算店舗の整理と大型旗艦店への経営資源集中(スクラップ&ビルド)」であることが明確になります。東北エリアの拠点である仙台店(EBeanS内)や、関西の象徴的存在である阿倍野店(あべのルシアス内)のように、圧倒的な売り場面積と専門書の集積度を誇る主要店舗は力強く営業を継続しており、拠点の強靭化が進められています。