王冠を戴くロゴといえば、まず思い浮かぶのがヴィヴィアン・ウエストウッドの名だろう。1970年代、パートナーのマルコム・マクラーレンとともにロンドンのキングスロードから発信した英国パンクファッションは、既存の価値観を打ち破るストリートカルチャーの原点となった。その泥臭くも鋭利なエネルギーが、後にラグジュアリーなモードへと洗練されていく過程で生まれたのが、かの有名なオーブモチーフである。
伝統的なイギリス王室の宝珠(アイリスと十字架を掲げた王冠の球体)に、宇宙を想起させるサターン(土星)のリングを掛け合わせた意匠。それは「伝統を尊重しながらも未来へ挑む」というデザイナーの毅然たる姿勢そのものだった。英国ファッション評議会からも高評価を受け、やがて高級ファッション産業全体の歴史を塗り替える象徴へと登り詰めた。王冠という威厳あふれるアイコンを反骨のユーモアで再構築した功績は計り知れない。