文を担当した京極夏彦と、絵を手掛けた町田尚子によるタッグは、まさに怪談における最高峰の化学反応を生み出した。京極夏彦は無駄な修飾語を極限まで削ぎ落とし、静けさと不穏さを醸し出す言葉の配置で読者の心理を追い詰める。文章そのものが怪異を呼び寄せる触媒として機能しているのだ。
一方、画家の町田尚子が施した視覚的演出も鮮烈である。一見すると美しい猫の描写やノスタルジックな古民家の情景。だが、色彩のトーンや光と影のコントラストには、自律神経を揺さぶるような不吉な違和感が潜む。一瞬の驚かしに頼るのではなく、じわじわと精神を侵食していく表現力は、洗練されたサイコロジカルホラーの真骨頂と言える。