縮毛矯正の施術プロセスは、髪の主成分であるケラチンタンパク質の「シスチン結合」を1剤のアルカリ剤と還元剤で切断し、熱アイロンで真っ直ぐに伸ばした状態で2剤(酸化剤)を用いて再結合させる高度な化学反応に基づいています。しかし、どれほど腕の良い美容師が施術しても、施術直後の毛髪内部には微量のアルカリ剤や過酸化水素が残留し、キューティクルが完全には閉じきっていません。
この不安定な期間に一般的な市販シャンプーを使用すると、深刻なトラブルを招きます。ドラッグストア等で安価に販売されている製品の多くには、ラウレス硫酸Naやオレフィン(C14-16)スホン酸Naといった高い洗浄力と脱脂力を持つ界面活性剤が主成分として配合されています。これらは油汚れを素早く落とす反面、施術によって開いたキューティクルから毛髪内部の水分やCMC(細胞間脂質)、人工的に再結合させたケラチンを急速に洗い流してしまいます。
その結果、髪は急速に乾燥して硬化し、いわゆる「ビビり毛」のようなチリつきや、毛先の広がり、うねりの再発を引き起こします。これが、多くの人が「縮毛矯正をかけたのにすぐに取れてしまった」と誤認するメカニズムの正体です。縮毛矯正の持ちを左右するのはアイロンの温度や薬剤の強さだけではなく、日々の洗髪で毛髪内部の栄養流出をいかに防ぎ、残留アルカリを弱酸性へ戻せるかにかかっています。