インターネットの掲示板等では「試用期間中なら企業はペナルティなしで誰でもクビにできる」という言説がまことしやかに語られますが、これは完全な法的主張の誤認です。
最高裁判所の重要判例(三菱樹脂事件など)において、試用期間は「留保解約権留保付き労働契約」と定義されています。留保解約権の行使、すなわち本採用拒否が法的に有効とされるためには、「採用決定時には知ることができず、知ることが期待できなかった客観的事実に基づき、解雇することが社会通念上相当である場合」に限定されます。
したがって、以下のような事由に基づく試用期間解雇の違法性は極めて高く、法的に無効と判断される可能性が濃厚です。
「会社の業績が急速に悪化したから、まずは試用期間中の人間を切る」という行為は、整理解雇の4要件を満たさない限り整理解雇権の濫用とみなされます。また、「入社前の面接で十分に確認できたはずのスキルレベルや性格」を理由にした解雇も認められません。採用選考の段階で適切に見極める責任は企業側にあるからです。
さらに、業務上の適切な教育・指導や、ミスの挽回機会を一切与えずに「期待外れ」と切り捨てる行為も、人事権の濫用として違法判断が下されるのが通例です。企業が試用期間中に労働者を解雇するハードルは、一般に想像されているよりも遥かに高い位置に設定されています。