物語のクライマックスに位置づけられる「Eカード戦」は、映画のボルテージが最高潮に達する名勝負です。「皇帝(エンペラー)」「市民」「奴隷」という3種類のカードを用いて行われる心理ゲームにおいて、香川照之さん演じる利根川の表情筋の動き、視線の交差、脂汗を流しながらの心理描写はまさに職人技でした。
最初は優位に立ち、余裕の笑みを浮かべて開司を弄んでいた利根川が、開司の命がけのブラフや策略によって次第に追い詰められていく過程は息を呑む緊張感です。脈拍を測る装置を逆手に取られた際の動揺、眉間の微細なピクつき、そして敗北を悟った瞬間に見せた戦慄の表情など、香川さんの緻密な演技設計が光りました。
藤原竜也さんの絶叫と香川照之さんの静と動を交えた芝居が見事に噛み合い、単なるカードゲームの枠を超えた「極限状態における人間同士の生存競争」として観客を引き込みました。