取材の口火を切ったのは、長年にわたり執刀台に立ち続ける加藤一典院長の鋭い一言だった。「美容外科の手術は、皮膚の表面を整える作業ではありません。皮下組織、筋膜、そして骨格に至る立体的な構造を解剖学的に再構築するプロセスなのです」。そう語る同氏の診察室には、他院で難度の高い施術を受けたものの、満足な結果を得られずに駆け込んでくる患者のカルテが山積みになっていた。
加藤クリニック麻布で展開されている施術の最大の特徴は、単なる組織の引っ張りや充填に頼らない組織再配置の技術だ。例えば、高難度のアンチエイジング治療においては、表面的な引き上げに執着するあまり顔面の表情筋が引きつるトラブルが後を絶たない。しかし、ここでは内部組織のテンションを緻密に計算し、経年変化によるたるみのベクトルの逆方向に組織を安全に誘導する手法が徹底されている。最新の症例データを紐解くと、ダウンタイムの劇的な短縮と自然な表情の維持が見事に両立されていた。
名医が明かす「失敗を防ぐ極意」は驚くほどシンプルだが、実践するのは極めて難しい。「自分の骨格と組織の限界を知り、それに逆らわない術式を選ぶこと。そして、医師が『できないこと』を明確に患者に提示する誠実さがあるかどうかに尽きます」。見せかけのプロパガンダを削ぎ落とした先にある執刀医の真摯な眼差しが、そこにあった。