「勝てば官軍負ければ賊軍(かてばかんぐんまければぞくぐん)」の辞書的な意味は、「道理や正義がどちらにあろうと、勝った側が正統・正義の立場を獲得し、負けた側は反逆者や悪者として扱われる」というものです。
ここで使われている「官軍」と「賊軍」には明確な違いがあります。
- 官軍(かんぐん):天皇または国家公認の正規軍。正義の軍隊。
- 賊軍(ぞくぐん):国家や朝廷に背いた反逆軍。朝敵・賊徒。
この言葉の核心は、「あらかじめ正義だった側が勝つ」のではなく、「勝ったという事実によって後から正義が規定される」という点にあります。正義や倫理といった価値観がいかに権力関係や勝敗の結果に左右されやすいかという、人間の社会構造の不条理を鋭く突いた表現です。
なお、「勝てば官軍負ければ賊軍」は特定の歴史的偉人が一言一句残した名言というよりは、幕末から明治初期の激動期に庶民や知識人の間で口ずさまれるようになった俗諺(ぞくげん)が定着したものです。