巨匠ミロシュ・フォアマン監督が手掛け、アカデミー賞を総なめにした名作映画『アマデウス』。宮廷作曲家サリエリの嫉妬と復讐劇として描かれたあのスリリングな物語は、世界中に「下品で破天荒な天才」という強烈なモーツァルト像を植え付けた。しかし、実際の歴史的資料が物語る素顔は少し異なる。
最新の研究では、サリエリとの関係はライバルでありながらも相互の才能を認め合う敬意に満ちたものだったことが裏付けられている。映画が描いた狂気と嫉妬のドラマは脚色に過ぎないが、彼が当時の貴族社会のしきたりに収まりきらない奔放な情熱の持ち主であったことだけは間違いない。