「味坊」が長年支持され続ける最大の理由は、日本人の舌に過剰に寄り添う「町中華」とは一線を画す、本場の郷土愛に満ちた味付けにあります。オーナーの梁宝璋氏が故郷・チチハル(黒竜江省)の味覚をそのまま届けるという信念のもと、クミンや唐辛子、香菜(パクチー)、発酵野菜を大胆に使った料理を提供し続けてきました。
さらに「味坊」を唯一無二の存在にしたのが、羊肉料理とナチュールワインのペアリングです。油分とスパイスが効いた羊肉に、果実味と酸味が豊かな自然派ワインを合わせるスタイルは、オープン当時の中華料理界において極めて革新的な試みでした。
店内奥の大型冷蔵庫には、世界各国から厳選されたナチュールワインがずらりと並び、客が自らボトルを手に取って選ぶセルフスタイルを採用しています。ボトルに直接価格が記された気取らないシステムと、活気あふれる屋台のような熱気。この圧倒的な「本場感」と「自由度の高さ」が、食通たちの心を掴んで離しません。