国内における感染症対策の中核を担う国立感染症研究所 (NIID) も、海外の研究機関と密接に連携しながらMERSのゲノム変異と病原性解析を精力的に続けている。日本国内での広域感染リスクは限定的とされるものの、国際的な人流の拡大や中東地域への渡航者の増加に伴い、輸入症例の早期発見と診断体制の維持は不可欠な課題だ。
学術界における研究知見の共有も加速度的に進んでいる。査読付き医学誌『The Lancet』や国際論文データベース『PubMed』には、MERS-CoVの構造生物学や薬物動態に関する最新論文が連日投稿されている。グローバルなオープンサイエンスの枠組みが機能することで、基礎研究から臨床応用への架け橋が強固に構築されつつある。