三津谷葉子の女優人生を語る上で、絶対的な金字塔となっているのが2006年公開の園子温監督映画『紀子の食卓』です。
本作において彼女は、吹石一恵演じる主人公の妹・島原ユカ役を熱演。家族の崩壊と自己のアイデンティティ喪失という極めて複雑かつ生々しいテーマの中、吉高由里子らとともに圧巻の芝居を披露しました。この怪演が映画関係者から絶賛され、第28回ヨコハマ映画祭で最優秀新人賞を受賞。元グラビアアイドルという色眼鏡を完全に破壊し、日本映画界にその名を深く刻み込みました。
映画での成功後、彼女はテレビ界でも着実に足場を固めていきます。出演ドラマのラインナップを見ると、その汎用性の高さと確かな実力が浮き彫りになります。
- 『相棒』シリーズ(テレビ朝日系):緻密な心理描写が求められるサスペンス回において、事件の鍵を握る重要人物を繊細に好演。
- 『科捜研の女』『警視庁・捜査一課長』などの刑事ドラマ:物語のリアリティを支える被害者・容疑者関係者役として、視聴者を引き込む存在感を発揮。
- 深夜ドラマ・配信系作品:エッジの効いたブラックコメディから人間ドラマまで、作品のトーンに合わせた柔軟な役作りで監督陣から重宝される。
当時の特番インタビューや手記において彼女は、「グラビア時代に培ったカメラの前での度胸が、芝居の現場でも役に立っている」と語っており、過去のキャリアを否定することなく、すべて自らの表現の血肉に変えてきた逞しさが伺えます。