日本の温熱技術は、世界でも群を抜く実績と精度を誇る。その基礎を築いたのは、元京都大学名誉教授の菅原努氏らを中心とする先駆的な研究者たちだった。生体を傷つけずに深部のがん組織だけを選択的に加温するという難題に対し、日本の高度な工学技術が応えた。
その結晶が、8MHzのRF波(高周波)を用いた「サーモトロン-RF8」である。電極プレートで患部を挟み込み、体内の深さや腫瘍の形状に合わせて位相や出力をミリ単位で制御する。がん放射線治療・先進医療機器産業の進化によって、現在ではリアルタイムの温度シミュレーション技術が融合し、正常な皮膚や脂肪組織の過熱を防ぎながら、深部病変をピンポイントで加温することが可能になった。