乳管内乳頭腫はなぜ手術を勧められる?がんとの違いと最新治療の真相

乳管内乳頭腫はなぜ手術を勧められる?がんとの違いと最新治療の真相

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乳腺外来の現場で患者が最も困惑するのが、「良性です」という言葉の直後に「念のため手術で取りましょう」と告げられる場面です。この一見矛盾した説明の背景には、乳房組織の微細な構造と、穿刺吸引細胞診や針生検におけるサンプリングの限界が存在します。

乳管内乳頭腫は、母乳の通り道である乳管の内腔に発生する上皮性の良性腫瘍です。病理組織学的には、血管を中心とした間質を取り囲むように良性の上皮細胞と筋上皮細胞が二層性を保って増殖しています。これに対し、乳がんは基底膜を破壊して周囲組織へ浸潤する能力を持つ悪性腫瘍です。根本的な病態において、乳管内乳頭腫と乳がんの違いは明確に境界づけられています。

それにもかかわらず外科的切除が強く検討される最大の要因は、病理学的な「アップステージング(Upstaging:術前診断より重い病変が術後に見つかる現象)」のリスクです。超音波ガイド下で行う通常の針生検では、腫瘍全体のわずか数ミリメートルの断片しか採取できません。しかし、乳管内乳頭腫の内部やそのごく近傍には、非浸潤性乳管がん(DCIS)や異型乳管過形成(ADH)といった病変がモザイク状に混在していることがあります。

日本および海外の乳腺外科学会に報告されている各種臨床統計によると、針生検で良性の乳管内乳頭腫と判定された病変を手術で全摘出して詳細に病理検索した結果、約5%〜15%の確率で非浸潤性がんなどが併存していたと判明するデータが示されています。つまり、医師が手術を勧めるのは「良性の腫瘍が突然悪性に豹変するから」ではなく、「針生検の範囲外に潜む微小ながんの見逃しを完全にゼロにするための最終確定診断」という防衛的かつ根治的な意味合いが含まれているのです。

中島 亮太
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中島 亮太

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