ルールを覚えた途端に私たちを混乱させるのが、「重箱(じゅうばこ)読み」と「湯桶(ゆとう)読み」というイレギュラーな存在だ。「重(音)+箱(訓)」、「湯(訓)+桶(音)」のように、音と訓がチャンポンになった熟語である。「場所(ば・しょ)」や「役場(やく・ば)」など、私たちは日常でこれらを無意識に使いこなしている。
ルールに厳格な西洋の言語学者からすれば、これは悪夢のような不規則性かもしれない。しかし、これこそが日本人の「使いやすければ何でも取り入れる」というアナーキーな編集力の証拠だ。正しさよりも、響きの良さやコミュニケーションの実用性を優先した結果、こうしたユニークな言葉が生まれ、定着していった。