世界中のカーガイに衝撃を与えた日産GT-Rの生産終了。その背景には、単なるモデルサイクル寿命にとどまらない、自動車業界全体を取り巻く急速な構造変化と極めて厳しい法規制のハードルが存在します。
最大の要因として挙げられるのが、GT-R騒音規制法規対応の限界です。欧州をはじめ日本国内でも導入が進む「走行騒音規制(UN-R51-03フェーズ3)」は、加速時の音圧レベルを大幅に引き下げることを義務付けています。最高出力600馬力級を誇る3.8リッターV6ツインターボエンジン「VR38DETT」と、リヤに配置されたトランスアクスルが発するメカニカルノイズや排気音を、性能を落とさずに現行規定内へ収めることは技術的に極めて困難な領域に達していました。
さらに、衝突被害軽減ブレーキなどの先進安全装備やサイバーセキュリティ法規への全面適合、そして長年専用設計を守り抜いてきた主要サプライヤーによる部品供給の継続困難が重なりました。「これ以上、GT-Rとしての圧倒的なパフォーマンスを犠牲にして延命させることはできない」という開発陣の誇りと苦渋の決断が、R35生産終了の決定打となったのです。