映画ファンにとって、彼の真価を決定づけたのは今泉力哉監督との作品群ではないだろうか。どこにでもいるようで、どこにもいないような男。日常の隙間に潜む曖昧な感情をすくい取る今泉ワールドにおいて、彼の存在感は圧倒的だった。
主演を務めた『街の上で』では、下北沢の町に溶け込む青年の何気ない会話や間を自然体に演じきり、観客に「これはフィクションなのか」と思わせるほどの空気感を作り出した。続く『ちひろさん』でも見せた、繊細でどこか不器用な人物像。日常の機微を愛おしく掬い上げるその演技は、作品全体の質感を深く温かいものに高めている。