寿命の延伸を手放しで喜ぶことばかりはできません。日本が直面する最大の難題が、女性の健康寿命との差です。健康寿命とは「介護や支援を必要とせず、自立して日常生活を送れる期間」を指し、女性の健康寿命は約75.38歳となっています。
平均寿命(約87歳)との差を計算すると、実に約12年間もの期間、何らかの介助や医療サポート、介護を受けながら生活している計算になります。男性の格差(約9年)と比較しても女性の方が空白期間が長く、人生の最終段階において「不自由さを抱えながら過ごす時間」が長期化しやすい構造的課題を抱えています。
この長期療養や死に至る背景を知る上で、厚生労働省の統計による死因ランキング(女性)の把握は欠かせません。
女性の主な死因は、第1位が「悪性新生物(大腸がん、肺がん、乳がん、膵臓がんなど)」、第2位が「心疾患」、そして近年第3位に定着したのが「老衰」です。特に女性は80代後半以降まで生存する割合が高いため、老衰による自然な看取りの割合が男性よりも顕著に高くなっています。これらに加え、転倒・骨折をきっかけとした寝たきりや認知症の進行が、健康寿命を損なう主要因として立ちはだかっています。