「なぜ車体と一緒にヘルメットを貸し出さないのか」という疑問はもっともですが、事業者側が車体常備に踏み切れない背景には、根深い現実的な障壁が存在します。
最大の要因は「衛生面に対する生理的拒否感」です。不特定多数が利用するヘルメットは、特に夏場の汗や皮脂、整髪料、雨水などの付着が避けられません。利用者アンケートでも「他人が被ったヘルメットをそのまま直に被りたくない」という声が圧倒的多数を占めています。
さらに、運用管理コストの問題も重くのしかかります。雨天時の浸水防止、定期的な消毒・清掃、盗難やいたずらへの対策、さらには頭のサイズ(S/M/L)への適合など、無人ポートでこれらをクリアするには莫大な設備投資と人件費が必要です。一部の観光地では「使い捨て不織布インナーキャップ」を配布して貸し出す試みもありますが、都市型のシェアサイクル全体へ広げるには至っていません。