現代の映像作品では、180センチを超える若手俳優やモデル出身者が画面を埋め尽くすことも珍しくない。そうしたキャスト陣の真ん中に染谷が放り込まれたとき、奇妙な逆転現象が発生する。
大柄な俳優たちが放つダイナミックなアクションや視覚的な派手さに対し、染谷は徹底して「動かない」ことで対抗する。まばたきの回数を極限まで減らし、体重を床に預けきる。すると、周囲の動きがすべて彼の周囲を回る衛星のように見えてくるのだ。サイズで競うことを放棄し、密度の濃さで勝負する。彼が画面にいるだけでカットが引き締まるのは、この引き算の身体コントロールが完璧に機能しているからに他ならない。