彼が手掛けたミュージックビデオの歴史を振り返る上で外せないのが、ポップアイコンとしての才能を結実させていたYUKIや、新世代のバンドシーンを彗星のごとく駆け上がっていたRADWIMPSとのコラボレーションだ。現場での彼は、徹底してアーティストの素顔と楽曲の核心に肉薄した。フィルムの質感や光の捉え方に対するこだわりは凄まじく、完璧なテイクを求めて現場の緊張感を極限まで高める一方で、演者がふと見せる無防備な表情を逃さず切り取った。
たとえばYUKIの作品において見られた可憐さと毒気が同居する独特の世界観は、彼の徹底した色彩感覚と演出力によって引き出されたものだ。画面に漂うどこかノスタルジックでエモーショナルな雰囲気は、綿密な準備と現場での偶然性を融合させる彼の撮影手法から生まれた。レンズ越しに捉えられたアーティストたちの表情には、作り込まれた虚構ではなく、その瞬間にしか存在しない本物の感情が宿っている。