吉高由里子の役者人生を語る上で避けて通れないのが、2007年秋に発生した凄惨な交通事故の真相です。金原ひとみ原作・蜷川幸雄監督の映画『蛇にピアス』の主役・ルイ役に抜擢された直後、彼女の乗った車が大型トラックと衝突する大事故に見舞われました。
顎の骨を骨折し、集中治療室(ICU)に約5日間搬送され、全治半年とも診断される重傷でした。一時は顔の形が変わり、喋ることすら困難な状態に陥り、女優復帰は絶望的と囁かれたほどです。しかし、彼女はこの極限状態から驚異的な回復力を見せ、予定されていた撮影を遅らせる形で現場に復帰しました。
当時の特番インタビューや手記において、吉高由里子は次のように生の告白を残しています。
「一度死にかけたことで、世の中のすべてのことが些細に思えるようになった。人の目を気にして縮こまるくらいなら、全部脱ぎ捨てて思いきりやってやろうと思えた」
この強烈な原体験が、映画『蛇にピアス』で見せた壮絶なフルヌードや舌ピアス、背中のタトゥーといった過激な描写に対する一切の躊躇を払拭させました。結果として、彼女は第32回日本アカデミー賞新人俳優賞および第51回ブルーリボン賞新人賞を総なめにし、若手演技派としての地位を不動のものにしたのです。