ロサンゼルス郡保安官事務所とカリフォルニア・ハイウェイ・パトロール(CHP)による数か月に及ぶ綿密な事故調査の結果、機械的な故障や道路の欠陥ではなく、過度なスピード超過が主因であると結論付けられました。
制限速度が時速45マイル(約72km/h)に指定されていた現場の公道を、車両は時速80マイルから93マイル(約130km/h〜150km/h)という猛烈なスピードで走行していたと算出されています。さらに、事故車両に装着されていたタイヤが製造から約9年が経過した古いタイヤであったことも判明し、ゴムの硬化によるグリップ力の大幅な低下がスピンを誘発した要因として指摘されました。
この事故でクローズアップされたのが、搭乗していたポルシェ・カレラGTという車種の極端なメカニズム特性です。
2004年に発売されたカレラGTは、ル・マン24時間レース用エンジンをベースにした最高出力612馬力のV10自然吸気エンジンを搭載するスーパースポーツカーです。現代のスーパーカーに標準装備されている電子制御スタビリティコントロール(ESC)が搭載されておらず、クラッチやハンドリングのシビアさから、プロレーサーでさえ「手なずけるのが最も難しいモンスターマシン」と評するほどの危険性を孕んでいました。ハイパワーマシン特有のシビアな挙動と経年劣化したタイヤ、そして速度超過が重なったことが、取り返しのつかない大事故を引き起こす引き金となったのです。