日常的に使われている「ピンナップ」という言葉は、英語の句動詞である「pin up(壁などにピンや画鋲で留める)」に由来しています。名詞形として「pin-up」と表記される場合、元々は「壁に留めて眺めるための魅力的な写真や絵画」そのものを指していました。
この文化が世界的な広がりを見せたのは、20世紀前半の欧米です。特に1940年代の第二次世界大戦期、戦地に赴いたアメリカ軍兵士たちの間で、故郷に残した恋人を偲び、あるいは過酷な戦場で心の拠り所とするために、女優やモデルの写真、美麗なイラストを兵舎の壁やロッカー、軍用機(ノーズアート)にピンで留めて飾る風習が大流行しました。これが、いわゆる「レトロ ピンナップ 写真 歴史」の原点です。
当時、映画スタジオや雑誌社は兵士たちの士気を高めるプロパガンダやエンターテインメントの一環として、ベティ・グレイブルやリタ・ヘイワースといったスターの華やかな全身写真を大量に配布しました。ここから、魅力的で健康的なセクシーさを持つ女性モデルを指す「ピンナップガール」という言葉が誕生し、アルベルト・バルガスらによるイラストレーションカルチャーとともに大衆文化へ定着していきました。
日本においては、昭和中期の洋画雑誌や音楽誌への導入を経て、1970年代から80年代のアイドルブームとともに独自の発展を遂げました。雑誌の中央に綴じ込まれ、読者が自分の手で切り離して部屋の壁に飾る「プライベートな観賞用アイテム」としての文化が完全に確立されたのです。