本格的なパン作りといえば、こね作業と一次・二次発酵、そして熱いオーブンでの焼成という長いプロセスがつきものだった。しかし、本レシピが提案するのは、ボウルひとつで生地を混ぜ合わせ、そのまま直接フライパンで焼き上げる革新的な技法だ。秘密の鍵を握る素材が「絹ごし豆腐」である。
「豆腐の水気を絞らず、そのまま米粉の水分補給として利用するのが最大のポイントです」と語るのは、長年グルテンフリーレシピの開発に携わる米粉料理研究家だ。水を使わずに絹ごし豆腐の水分だけで生地をまとめることで、発酵プロセスを経ずとも、まるで餅のようなモチモチ食感とふっくらとした厚みが生まれる。
焼き方のコツは極めてシンプルだが奥が深い。フライパンに薄く油をひき、成形した生地を並べたら、必ず「極弱火」に設定してフタをする。蒸気を内部に閉じ込めながら、片面およそ6〜7分。ひっくり返してさらに4〜5分じっくり蒸し焼きにする。焦げ付きを防ぎつつ、外側はパリッと香ばしく、内側はしっとりモチモチに仕上げるための黄金ルールだ。途中でフタを開けすぎない忍耐力が、大成功への近道となる。