彼の執筆キャリアを語る上で欠かせない代表作が、衝撃的な設定で読者を喝采させた『トリガー』と、アウトローの闇と復讐劇を描いた『蟻地獄』だ。銃を持つことを許された官僚という架空の国家制度を描いた『トリガー』は、正義と悪の境界線を鮮烈に問いかけ、読者の脳裏に深い爪痕を残した。
一方、『蟻地獄』では自業自得の泥沼にハマった主人公が足掻く様を、息もつかせぬスピード感で描写。サスペンス小説としての完成度の高さは出版界でも絶賛され、後にコミカライズや舞台化、映画化へと波及した。これらの作品に共通するのは、「絶望の中で人間が見せる一瞬の滑稽さと生き様」である。コント作りの真髄が、物語の深みとして脈打っているのだ。