戦争がビジネスとして成立する中心地には、民間兵器メーカー、国防総省などの軍部、そして議会が強固に結託した「軍産複合体(Military-Industrial Complex)」の仕組みが存在します。第34代米大統領アイゼンハワーが退任演説でその危険性を警告したこの構造は、半世紀以上を経て解体されるどころか、より洗練された形で世界経済に根を張っています。
一般消費財と異なり、軍需産業が儲かる仕組みはきわめて特殊です。第一に、顧客が「国家(政府)」であるため貸し倒れのリスクが事実上ゼロである点。第二に、研究開発費の多くが国費で賄われ、利益率が手厚く保証される「コスト・プラス・フィー契約」が一般的である点です。さらに決定的なのは、兵器という商品の消費スタイルにあります。
ミサイルや弾薬は一度発射すれば消滅し、戦闘機や防衛システムは数年単位で陳腐化して新型へのアップグレードが要求されます。つまり、平和が長く続いて在庫が余ればビジネスは縮小し、実戦で使用され消費されるほど新規発注が舞い込む構造になっています。この「兵器を消費し続けなければ成立しない産業モデル」が、防衛予算の拡大圧力を生み、紛争地の緊張を煽るインセンティブとして働き続けています。