世界から「日本が安い」と指摘される根本的な背景には、単なる一時的な為替変動だけではなく、平成以降に定着した約30年間にわたるデフレの経緯が存在します。バブル崩壊後、日本企業は価格競争に巻き込まれ、「安くなければ売れない」という強い強迫観念に囚われました。
企業は利益を確保するために、製品やサービスの付加価値を高めて値上げする道ではなく、人件費の抑制(非正規雇用の増加や基本給の据え置き)を選択しました。その結果、以下の悪循環が完全に定着してしまったのです。
「給料が上がらないため消費者が低価格を求める」→「企業が値上げを恐れてコストカットに走る」→「従業員の賃金が上がらない」という負のスパイラルです。海外諸国が緩やかなインフレとともに毎年2〜4%前後の賃上げを継続してきたのに対し、日本だけが長期間にわたって価格と賃金の時を止めてしまったことこそが、決定的な格差を生み出した最大の元凶です。