まるたかや豊田店の暖簾をくぐる際、メニュー構成の妙と卓上トッピングの作法を知っているかどうかで、得られる満足度は劇的に変化します。まずは看板メニューの骨格と、地元通が実践する黄金のルーティンを整理してみましょう。
出汁が染み渡る名物おでんと「自家製生姜味噌」
席に着くと同時に、多くの常連客がラーメンの注文とセットで頼むのが名物のおでんです。鍋の中で琥珀色の出汁をたっぷり吸い込んだタネの数々は、どれも大ぶりで食べ応え十分。なかでも外せないのが、じっくり煮込まれてトロトロになった「豚串(白モツ串)」や「牛すじ」、そして富山らしさを象徴する「赤巻かまぼこ」です。
これらのおでんに添えられるのが、まるたかや特製の「ピリリと辛味が効いた生姜味噌ダレ」です。甘辛い味噌におろしたての生姜が鮮烈なアクセントを加え、淡麗なおでん種に力強いパンチを与えます。ラーメンが運ばれてくるまでの約5〜10分間、この生姜味噌おでんを頬張りながら待つ時間こそ、まるたかやにおける至高のプロローグと言えます。
卓上魔法「あぶらかす」と「ニンニク」による味覚の二段ロケット
やがて運ばれてくるラーメンは、中太のやや縮れたツルツルとした麺に、チャーシュー、メンマ、刻みネギが乗った潔いビジュアル。まずはそのままスープを味わい、すっきりとした豚骨醤油の輪郭を確かめるのが鉄則です。
そして中盤戦、この一杯を伝説的なソウルフードへと昇華させる主役が登場します。卓上に常備されている無料の「あぶらかす(豚の背脂を釜でじっくり揚げて余分な油分を抜いたもの)」と「おろしニンニク」です。あぶらかすをスプーンに山盛り1〜2杯、さらにニンニクを適量投入した瞬間、スープの表情は一変します。
スープの熱でふやけたあぶらかすから香ばしいラードのコクと旨味が爆発的に溶け出し、あっさりしていた淡麗スープが一気に重量感のある濃厚スープへと変貌を遂げます。カリカリとした食感からモチモチとした食感への変化、そこに重なるニンニクの刺激。この「自分で味の濃淡を完成させるダイナミズム」に魅了された中毒者が、豊田店に連日押し寄せる原動力となっています。