広田さくらが長く支持されてきた理由は、単に面白いからではない。彼女の試合には、相手を立てる視点がある。自分だけが目立つのではなく、対戦相手の強さや個性を観客に伝える。これはプロレスにおいて大切な力だ。
強い選手と向き合えば、その強さがより分かりやすくなる。真面目な選手と組めば、真面目さが逆に際立つ。若い選手と当たれば、その選手の反応力や度胸が見える。広田がリングに入ることで、相手の別の表情が引き出される。ファンはそこを楽しんでいる。
もう一つは、観客との距離の近さだ。広田さくらの試合では、完璧に作られたスター像よりも、転んだり、焦ったり、言い訳をしたりする人間らしさが前に出る。そこに親しみが生まれる。会場に来た人は、「今日は何をするのだろう」と期待する。その期待が、次の観戦につながる。