運行終了から年月が経過した現在でも、SNSや鉄道コミュニティでは臨時列車としての復活を望む声が根強く存在します。しかし、鉄道ジャーナリズムの視点から現実的な運行環境を精査すると、同列車の復活は極めて困難と言わざるを得ません。
最大の障壁は、JR東日本とJR東海の境界(熱海駅)を跨ぐ車両運用の難しさにあります。現在両社が保有する直流特急型車両(E257系やHC85系、315系・383系など)は各社の保安システムや乗務員訓練体系が個別化されており、直通運転を行うためのハードルが年々上がっています。
また、普通列車指定席という極めて単価の低い料金設定では、深夜帯の乗務員人件費や線路保守間合いの調整コストを回収することが不可能です。JR各社が観光特急や高付加価値クルーズトレインへ注力する昨今の事業方針を鑑みても、低価格帯の夜行快速が再設定される蓋然性はほぼゼロに近いのが実情です。
かつて大垣駅のホームで見られた、下り「ムーンライトながら」から米原・播州赤穂方面行きの始発普通列車へ座席確保のために旅行者が一斉に猛ダッシュした名物風景「大垣ダッシュ」も、列車の運行終了とともに完全に過去の記憶となりました。現在の大垣駅早朝ホームは、静かで穏やかな日常の通勤風景へと回帰しています。