寺井則彦シェフは、フランスやベルギーの名店で修行を重ね、数々の国際コンクールで目覚ましい実績を残してきた人物だ。欧州の伝統的な製法を徹底的に学び抜いたからこそ到達できたのが、クラシックの単なる模倣ではない「現代における再解釈」である。
フランス語で「甘酸っぱい」を意味する店名が示す通り、彼の作る菓子には常に鮮明な味のコントラストが存在する。酸味と甘み、重厚感と軽やかさ、あるいは温度差や食感の違い。それぞれの要素が口の中で衝突し、調和していくプロセスそのものが、寺井氏の卓越した感性を物語っている。