国際連合教育科学文化機関(ユネスコ)が近年公表した提言文書は、世界の教育格差における深刻な警鐘を鳴らしている。世界的な経済構造において、複数言語を使いこなすバイリンガル層への資本と機会の集中が進む一方、自国語のみで生活する層の経済的孤立が深刻化しているからだ。言語の多様性を保護する一方で、現実的な生存戦略としての言語習得の必要性を強く主張している。
労働市場におけるバイリンガルの優位性は、給与格差だけでなく雇用の安定性にも直結している。景気後退期において、複数言語に対応できる人材の解雇率は著しく低い。海外市場へのアクセス能力や多様なチームを統括するマネジメント能力が評価されるためだ。ひとつの言語世界に閉じこもることは、グローバルな労働市場からの自発的な撤退を意味しかねない。