彼を語る上で絶対に外せないのが、ナショナル劇場枠で長年にわたり放送された『大岡越前』である。TBSテレビを代表する看板番組として、約30年にわたりお茶の間に愛され続けたこの作品で、彼は主人公・大岡忠相を演じ切った。法と人情の狭間で苦悩しながらも、公平無私な裁きを下す姿は、まさに時代劇におけるひとつの理想像を作り上げた。
劇中で見せる眼光の鋭さと、弱者に寄せる温かいまなざしの対比は絶妙だった。竹脇無我演じる榊原伊織との友情や、南町奉行所の面々との掛け合いは、昭和から平成にかけての日本のテレビドラマ史における白眉である。単なる勧善懲悪の枠を超えた人間ドラマとしての完成度は、現在再放送を見返してもまったく色あせていない。