数ある美輪明宏の交友関係の中で、最も世間を騒がせ、熱愛と噂されたのが文豪・三島由紀夫との関係です。二人の出会いは銀巴里でした。当時すでに文壇の寵児であった三島が、傲慢な態度を取ることなく対等に美の議論を挑んできた美輪に強烈な興味を抱いたことが始まりです。
三島は美輪の美しさを「99.9%の完全な美。残る0.1%の欠点は、彼が生きている(人間である)ことだ」と最大級の賛辞で称賛しました。二人の間には単なる肉体関係や世俗的な恋愛感情を超えた、知性と美意識の極致における共鳴が存在していました。
その関係性が最も鮮烈に具現化したのが、江戸川乱歩原作・三島由紀夫脚色の舞台『黒蜥蜴(くろとかげ)』です。三島は主人公の女盗賊・黒蜥蜴役に美輪を指名し、自らも劇中で美輪演じる黒蜥蜴の剥製にキスをする役柄で特別出演を熱望しました。舞台上で交わされた二人のキスシーンは、演劇界の伝説として今も語り継がれています。
1970年11月、三島が自決する数日前、美輪の楽屋に深紅の薔薇の花束を抱えて訪れたエピソードは有名です。美輪自身も特番インタビューなどで「三島さんとはお互いにすべてを見透かし合っていた。恋人という小さな枠組みではなく、魂の双子のような存在だった」と明かしています。