リアス海岸が織りなす険しくも美しい海岸線が続く大船渡市末崎半島において、大船渡・碁石海岸の見どころの中でも突出した存在感を放つのが穴通磯です。南北約6キロメートルにわたって続く碁石海岸の北端近くに位置し、三陸復興国立公園の景勝地として昭和12(1937)年に国の名勝および天然記念物に指定されました。
地質学的な観点から見ると、穴通磯の成り立ちと洞門の形成には気の遠くなるような歳月が刻まれています。基盤となっているのは古生代デボン紀から石炭紀にかけての硬質な石灰岩や堆積岩類です。断層や岩質の脆い部分に太平洋の激しい波浪が集中して打ち寄せることで海食凹所(ノッチ)が生じ、それがやがて貫通して海食洞門へと成長しました。並列するように3つの巨大な穴が穿たれた特異な形状は、日本国内の沿岸部を見渡しても類を見ない貴重な地形遺産です。
展望スポットに立つと、松林の緑と白亜の岩壁、そして外洋から打ち寄せては砕け散る白波のコントラストが目に飛び込んできます。海水の透明度が高いため、太陽高度が高い時間帯には海底の岩礁まで透き通って見え、自然が織りなす色彩のグラデーションを心ゆくまで堪能できます。