総資産にして数兆円。世界有数の資産家として君臨する創業者・柳井正氏の背中を追い、市場が息をのんで見守ってきたのが、いかにしてこの巨大な資産と経営権を次代へとつなぐかという命題だ。単に莫大な富を分与するだけでは、グローバル企業のガバナンスは崩壊する。市場関係者の間で囁かれてきた「株式の散逸を防ぎつつ、経営の実権はプロ経営者に委ねる」という二重構造の真意が、いま鮮明になりつつある。
巨大ファンドや外資系投資家が注視するのは、同族による所有と経営の分離がどのような形で結実するかだ。創業者の圧倒的なカリスマ性に依存してきた構造から脱却し、安定した統治機構へと昇華させる試みは、日本のファミリービジネス史上でも類を見ない規模で進行している。