好きな人を想うあまり夜も眠れなかったり、時間の経過が途方もなく遅く感じられたりする心理状態は、洋の東西を問わず古今東西の人々が経験してきた普遍的な感情です。言葉にできない胸の痛みを代弁する片思いの四字熟語には、研ぎ澄まされた叙情美が宿っています。
代表的な言葉として知られるのが「一日千秋(いちじつせんしゅう)」です。一日千秋と恋愛の結びつきは極めて深く、中国の詩集『詩経』に記された「一日見ざれば、三秋の如し」という一節に由来します。相手に会えないわずか一日が、まるで千年の歳月(あるいは三度の秋=三年)のように長く感じられる焦燥感を見事に描写しています。
また、切ない恋の四字熟語として情緒豊かな響きを持つのが「恋風恋歌(れんぷうれんか)」です。恋の切なさを運ぶ風と、恋心を歌った調べを意味し、届かない想いを抱えながらも相手を慈しむ淡く切ない心象風景を表現する際に重宝されます。
さらに、眠ることすらままならない激しい執着や思慕を表す「寤寐思服(ごびしふく)」や、男と女の想いがすれ違う儚さを水と花にたとえた「落花流水(らっかりゅうすい)」など、片思いの切なさを精緻に切り取った語彙は枚挙にいとまがありません。