初夏の風が心地よく吹き抜ける午前11時過ぎ。下町の静かな路地に佇む老舗「そば処 まつ島」の前には、すでに開店を待ちわびる客の姿があった。2026年最新の食レポとして足を踏み入れた店内は、木の温もりを大切にした上質な意匠が広がる。
注文したのは、店一番人気のセットメニューだ。運ばれてきた膳を目にした瞬間、思わず息を呑む。つややかに輝く漆黒に近い蕎麦と、黄金色にカラリと揚がった天ぷらが整然と並んでいる。一口啜れば、甘みを含んだ豊かな香りが鼻腔を吹き抜けた。喉越しは実に軽やか。噛み締めるほどに穀物本来の力強い旨味が広がる。伝統を受け継ぐ和食料理の真髄が、ここにある。