具体的な書き分けの決定打となるのが、文脈における「本動詞」と「補助動詞」の識別である。実質的な意味を持つ独立した動詞、すなわち「くれる」の尊敬語として単独で用いられる場合は「下さる」と漢字で表記するのが本来の原則だ。たとえば「本を私に下さる」のように、モノの授受そのものを指す場面がこれに該当する。
一方で、「お送りくださる」「ご教示くださる」のように、別の動詞の連用形に「て」や「お(ご)」を伴って接続する補助動詞として使う場合は、ひらがなで「くださる」と書くのが現代日本語の文法ルールとして定着している。補助動詞は本来の意味が薄れ、付属的な敬意を表す働きに特化するため、ひらがな表記が適切とされるのだ。