周囲がこれほどまでに苦痛を感じているにもかかわらず、なぜクチャラー当人は平然と食事を続けられるのでしょうか。そこには人間の聴覚構造と骨伝導による認識のズレが存在します。
人間が自分の咀嚼音を聞く際、耳穴から入る空気の振動(気導音)だけでなく、顎の骨や頭蓋骨を直接伝わる「骨伝導音」が脳へ届きます。骨伝導で聞こえる音は低音寄りでこもった音質になるため、外に響いている高音域の「クチャッ」「ペチャッ」という粘着質な破裂音を、本人は正確にキャッチできていません。「自分が出している音」と「他人が聞いている音」には致命的なギャップがあるのです。
心理面の特徴としては、他者視点の欠如や極度のマイペースさが挙げられます。自分の行動が他人にどう映っているかというメタ認知が苦手なタイプや、食欲を満たすことだけに集中して周囲の空間に意識が向かないタイプは、大人になっても自分の咀嚼音に疑問を抱く機会がありません。「音が鳴っていることすら本当に知らない」というのが、多くのクチャラーの実態です。